石狩川が日本海へ注ぐまち・石狩市は、17世紀初頭の慶長年間、石狩場所が設けられたことを機に、鮭の交易で大いに賑わい、その後時を経て、昭和40年に入ってからは札幌市のベッドタウンとして宅地化が進み、石狩湾新港の建設と工業団地の造成により急速な発展を遂げた。石狩鍋発祥の地と言われ、鮭漁の歴史や文化は「いしかり砂丘の風資料館」や毎年恒例の「石狩さけまつり」などにより受け継がれている。また、今年で7回目を数えるアートイベント「いしかり浜サンドパーク」では、美しい海岸の砂浜を活かした新しい芸術文化の創造と発信を行なっている。平成26年に国際貿易港として開港20周年を迎えた石狩湾新港の背後地に広がる工業団地内では、新たなプロジェクトが進行中だ。
日本の発電所で作られる電力は家庭に届くまでの送電中に、電線の電気抵抗などで5%前後が失われていると言われているが、近年、電力受給のひっ迫から省電力への更なる取り組みが課題となっている。そのような中、送電ロスの低減に効果を発揮すると期待されているのが、電気抵抗がゼロになる「超電導」現象を利用した超電導送電技術だ。
道央圏の産業空間、石狩湾新港地域では、平成25年から、大学や企業の連携により、この送電ロスを抑える次世代送電技術として期待される「高温超電導直流送電システム」の実用化を目指した実証事業が進められている。
再生可能エネルギーの集積が進む石狩市において、将来の効率的な電力供給に貢献する高温超電導直流送電システムにより、送電ロスが極めて小さい効率的な電力供給の未来が切り拓かれようとしている。